未来エッセイ_受賞者 | AFJ日本農業経営大学校

未来エッセイ_受賞者

未来エッセイ2101_受賞者




最優秀賞 1作品(全文は後添のとおり)

応募タイトル

「食と農業で繋がる平和な世界 ―グアテマラのコーヒーを東京で育てるー」


応募者

久継 遥々(東京都)

概要:未来の農業はロボットテクノロジーの駆使により地域を超えた遠隔地での農作業が可能。地球単位で「食」や「農業」を考える未来は平和な世界となっている。

短評:素晴らしいアイデアが折り重なる作品で高く評価。自分たちから見えている日本という世界だけでなく、遠くの世界が見えており、国境がなくなる発想もよかった。
AIロボットで労働力不足を補う発想はいい。また、SDGsの観点で「誰も取り残さない」「どう食料を作るのか」等をこの短いエッセイで良く盛り込んだなと感じる。


優秀賞 2作品

応募タイトル

「天気は変えられる!?空飛ぶ農地で天災を防げ」


応募者

菊山 舞衣(兵庫県)

概要:農業の天候リスクを極小化するために、天気をコントロールするのではなく、農地を空中に浮かべて移動させるという、農業の固定観念を大きく変える発想で現代の農業が抱える様々な問題の解決を目指す。

短評:一見、実現不可能なアイデアから、どのようにすれば実現に近づくのかのアイデアを検討することが重要であり、その点から農地を動かす発想は非常に興味深い。作中では「磁力に似た力」としているがドローン技術の応用等の可能性や、農地の軽量化等様々な可能性が考えられる。


応募タイトル

「『ご馳走の種』と『台所いらずのAIシェフとアグリAI』」


応募者

樋口 朋子(東京都)

概要:未来の家には台所が存在せず、AIシェフが「ご馳走の種」をミールに仕上げることで食事の準備は完了、人は準備されたものを食べるだけだ。未来人の夢は人が手間をかけて準備した料理を食べることであり、現代では日常の風景である「調理」そのものに価値のある未来となっている。

短評:「台所がなくなる」、「女性が料理をしない」、「ジェンダーフリー」、「自給自足のためのハウスプラント」等、映画になりそうなストーリー性がみられ、未来の家庭のシーンが浮かんでくる。


入賞 8作品

応募タイトル応募者
未来の食生活を覗いてみたら工藤 孝之(神奈川県)
東京の地下空間に、四季をつくろう。熊倉 芙木(東京都)
22世紀に織りなす持続可能でパーソナライズされた農業風景と革新的な次世代食卓坂本 松昭(東京都)
食べてトリップ! 場所や時間を越える「フードライブラリ」たべもの研究会(福岡県)
未来の食卓土屋 順史(宮城県)
「貧困」を救う次世代型カプセル型食品西口 泰正(東京都)
サルの手も借りたい。動物たちと共に、持続可能な農業を!三上 真名美(東京都)
22世紀は種を超え協働農業夜船 史花(広島県)


協賛会員賞 7作品

応募タイトル応募者
エスビー食品 賞 (副賞:「ハーブセンター」または「わさび試験農場」見学ツアー)
天気は変えられる!?空飛ぶ農地で天災を防げ菊山 舞衣(兵庫県)
キッコーマン 賞 (副賞:亀甲萬本店商品詰め合わせセット)
未来の食卓土屋 順史(宮城県)
THE FARM 賞 (副賞:THE FARMコテージorグランピングペア宿泊券)
東京の地下空間に、四季をつくろう。熊倉 芙木(東京都)
豊田通商 賞 (副賞:完全養殖クロマグロ等お魚セット)
食べてトリップ! 場所や時間を越える「フードライブラリ」たべもの研究会(福岡県)
日本フードサービス協会 賞 (副賞:ジェフグルメカード) 
『ご馳走の種』と『台所いらずのAIシェフとアグリAI』樋口 朋子(東京都)
農林中央金庫 賞 (副賞:JAタウンギフトカード)
未来の食生活を覗いてみたら工藤 孝之(神奈川県)
雪印メグミルク 賞 (副賞:アイスクリーム「スノーロイヤル」引換券)
22世紀は種を超え協働農業夜船 史花(広島県)



最優秀賞全文

応募タイトル

「食と農業で繋がる平和な世界 ―グアテマラのコーヒーを東京で育てるー」


応募者

久継 遥々 (東京都)

内容

Q:あなたの考える「食や農業の未来」はどうなっていますか?想像される未来を書いてください


僕の名前は太郎、小学校3年生。うちは一家揃って農家だ。と言っても、僕達が住んでいるのは東京の住宅地。周りに畑も田んぼもない。朝の家事をバタバタして終えた母は居間のソファに座って頭部を覆う機械を装着した。この瞬間、山形の田んぼにいる人型ロボットと母は完全に同期する。「おはようございます!今日も暑いですねえ」と言いながら、手元のコントローラーを動かした。現地の人から教わりながら、山形の田んぼで母になりきったロボットが農作業を始めたのだ。いつも母は午前中だけ働いている。隣の部屋にいる元ラグビー部の父は母と違い、体をがっつり動かしたいらしい。頭部の機械だけでなく、体にも機械を装着して、汗を掻きながら忙しなくグアテマラのコーヒー農園で働いている。横になったまま体を動かせないおじいちゃんは、こめかみや額にペタッと貼るタイプの器具を着けている。頭で考えた通りに現地のロボットが動き、ロボットが体感した五感も同期できるので毎日楽しいといつも微笑んでいる。なんとこのシステムは、発達上の特性もカバーできるらしい。ドローンがベランダに荷物を運んできた。22世紀の農業は、対価をお金で得る事も出来るし、実際に育てた農作物で得ることもできる。まるで家庭菜園で作ったかのように。今日届いたのはおじいちゃんがアイダホで作ったじゃがいもだ。僕は、って?放課後、フランスのぶどう畑で働くつもり。ワインはまだ飲めないけどね。

Q:「食や農業の未来」を実現するための「あったらいいな・できたらいいな」を具体的に書いてください


先述の未来を実現する為に必要なことは大きく二つ。「ロボットを始めとしたテクノロジー」と「食と農業で世界を繋ぐ国際協調」だ。一つ目の「ロボットを始めとしたテクノロジー」。二足歩行し、手先を自由に動かせる、まるで人間のようなロボットがあると良い。そして、このロボットは遠隔から自由に操作できる必要がある。操作方法は主に3つ。ゲーム機のコントローラーのような端末による操作、操作者の動作そのものを反映して行う操作、そして、脳内で考えたことをそのまま動作に反映する操作。ここまでだと、ゲームと変わらないかもしれないが、さらに遠隔地にいるロボットが現地で体感した五感を操作者にフィードバックできるようにしたい。これにより、操作者はまさに現地にいるような感覚と喜びを得る事ができるだろう。二つ目の「食と農業で世界を繋ぐ国際協調」。人間にとってなくてはならない「食」、それを生み出す「農業」を国や地域の問題と捉えず、地球全体で考える。ある国の農業人口が減っても他の国の労働者で補えばいい。そして、その対価としての農作物(金銭でも可)は必ず労働者へ還元されることを保証する。各国が自国の利益でなく、人類の利益に目を向けて、そういう基盤を世界全体として構築する。人間にとってなくてはならない「食」だからこそ、国や民族を越えて協調できる可能性がある。「農業」は世界平和を実現するための大事な鍵になる可能性を秘めている。

未来エッセイ2101